研究課題
本研究においては、がん細胞における強制発現により強力なアポトーシス誘導効果を持つ新規がん抑制遺伝子REIC/Dkk-3と相互作用する分子の検索を行い、REIC/Dkk-3が持つがん選択的なアポトーシス誘導効果の真相を明らかにすることを目的としてREIC/Dkk-3を取り巻く分子間ネットワークの解明を試みた。ヒトREIC/Dkk-3をbaitとしてYeast two-hybrid assayによりヒト正常前立腺、前立腺がんおよび正常心臓組織cDNAライブラリーを対象に相互作用候補遺伝子を検索した。各ライブラリーにつき約100万クローンをスクリーニングした結果、相互作用候補分子として細胞構造維持に重要な役割を果たすDynein light chainのサブユニットであるTctex-1を同定し、Mammalian two-hybid assay及び免疫沈降法で結合の証明と結合部位の詳細な解析を行った。Tctex-1は細胞の形態維持に必須であり、本相互作用の解明はREIC/Dkk-3が持つがん選択的アポトーシス誘導能の機序解明に大いに役立つものである。また、本研究によって上記2分子の相互作用部位はTctex-1がDynein intermediate chainと相互作用する[-E-X-G-R-R-X-H-]ドメインであることも同定した。本研究成果は、REIC/Dkk-3分子創薬による臨床応用に際し、相互作用分子との併用によってさらに強力ながん選択的治療法の開発につながる可能性があり、本研究結果による波及効果は非常に大きいと思われる。
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