尿道下裂のより深い理解と新しい治療法の開発のため、以下の3つの研究を行っている。 1.尿道下裂モデル動物を用いて胎仔期(尿道形成時期)の遺伝子解析を行い、疾患の発症に関わる候補遺伝子を同定すること。 2.同定した遺伝子の検証として、モデル動物での発現局在と発現時期の確認すること、さらにヒトにおける発現を確認し、ヒトへの応用が可能かどうか検討すること。 3.尿道下裂モデル動物に候補遺伝子を補填することにより、将来の遺伝子治療への応用が可能かどうか検討すること。 の3つである。昨年は、1.をおこなった。現在、2.が終了した段階である。 具体的には、1.でのマイクロアレイ解析により得られた候補遺伝子群について、定量RT-PCRを施行し、実際の遺伝子発現に有意差があるかどうか確認した。有意差のあった遺伝子に関しては、発現局在を確認するためにラット組織切片の免疫染色を行った。 ラットの解析から得られた候補遺伝子がヒトに当てはまるかどうかは、ゲノム配列データベースEntrez-Genomeにて相同遺伝子のチェックを行った。尿道下裂患者とコントロール患者(包茎など)の手術検体から組織の免疫染色により発現部位の局在を確認したところである。 これから、3.にむけて候補遺伝子のcDNAの単離とアデノウイルスベクター作成のため、サブクローニングの準備開始したところである。具体的には、大きなプラスミドを遺伝子変異しないように増幅させるためのコンピテントセルとなる大腸菌の種類・温度条件などについてプレリミナリーな検討を行っている。
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