研究課題
【具体的内容】わが国をはじめ先進諸国では尿路結石の発症頻度は急増し、さらに5年再発率は約50%と高いことから、予防法の確立は世界的な課題となっている。これまでの尿路結石の治療法は主に、カルシウムやシュウ酸などの無機物質から行われていたが、私たちは、結石のマトリックス成分が形成に重要であると考え、オステオポンチン(OPN)が関わる結石形成の分子機構の解明に取り組んできた。例えば、OPNの発現を抑制した腎臓細胞株や実験動物を作成し、尿路結石形成が抑制されることを報告した。その結果OPN分子を機能抑制することができれば、結石形成を予防できるものと考えた。今回、腎結石形成におけるOPN機能的アミノ酸配列として、トロンビン切断部位に着目した。血中のトロンビンにて切断され露出されるOPNのSLAVYGLR配列に対するモノクローナル抗体を作成し、結石モデルマウスにおける効果を検討した。結果は、OPN抗体投与マウスにおいては、結晶形成が投与量に依存して減少することがわかった。また、その理由を検討する上で、透過型電子顕微鏡を観察したところ、抗体投与により腎尿細管細胞のミトコンドリアを中心とした傷害が抑制されることがわかった。以上の結果にて、日本泌尿器科学会総会、中部総会、海外における学会にて発表を行った。【意義・重要性】これらのマウスにおける成果により、将来のヒトに対する結石再発予防を目的とした初めての分子標的治療薬の開発へとつながるものと考える。
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