尿路結石の初期形成において、腎尿細管細胞傷害が起点となっておりその原因としてMitochondrial permeability transition pore(mPTP)の役割について解明した。MitomPTPの開口の起点となるCyclophilin Dを欠損させたマウスに、結石モデルマウス作成の手法に準じてシュウ酸前駆物質であるグリオキシル酸を連日腹腔内投与したところ、wild typeマウスと比較して優位に結石形成量が抑制された。cyclophilin Dの活性には酸化ストレスや細胞質内カルシウム濃度上昇が起点となることが判明した。 また、cyclophilin D活性阻害作用を有するcyclosporine A 以外にcyclophilin D選択的阻害剤を投与することにより結石モデルラットにおいて結石を抑制することに成功した。このcyclophilin D選択的阻害剤には血液、尿生化学検査及び身体所見から他臓器への明らかな副作用を認めなかったことから今後尿路結石治療薬としての臨床応用が期待される。
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