マウス前立腺癌細胞株Tramp-c1をC57BL/6マウスに正所性・異所性に移植し、腫瘍の生着について検討を行った。十分に腫瘍の生着は認められたものの、肉眼的に明らかな転移の所見は認められなかった。肉眼での評価は限界があるためimaging systemを用いた評価を検討した。マウス前立腺癌細胞株Tramp-c1にルシフェラーゼ発現遺伝子を遺伝子導入したマウス前立腺癌細胞株Tramp-c1/CBRを作成して、C57 BL/6マウスにTramp-c1/CBRを正所性・異所性に移植し、腫瘍の生着およびluciferinへの反応について検討を行った。残念ながらTramp-c1/CBR細胞のC57 BL6マウスへの正着率は悪く、腫瘍の増殖スピードもTramp-c1細胞の時と比べて明らかに遅く、またluciferinでの発光も満足のいく結果ではなかった。 さらにC57 BL6マウスにTramp-c1/CBR細胞とmesenchymal stem cell(MSC)を同時に移植した。MSCとしてはwild-typeのMSC(WT-MSC)とINK4をknockoutしたMSC(INK4^<-/->-MSC)を使用した。正着は正所性・皮下モデルともに確認できたが、局所でゆっくりと増大していたものの増殖スピードは今一つであった(8wの時点での皮下腫瘍モデルでの比較;Tramp-c1:529.9±218.9cm^3、Tramp-c1/CBR:56.3±103.0cm^3、Tramp-c1/CBR+WT-MSC:84.8±101.6cm^3、Tramp-c1/CBR+INK4^<-/->-MSC:66.6±49.5cm^3)。また14wの時点では骨・肺などへの明らかな遠隔転移は認められなかった。腫瘍の増殖具合からC57 BL6マウスを使用しての実験には限界が感じられた。他癌の細胞株ではあるが、ヌードマウス(BALB/c nu/nu)ではルシフェラーゼを含む細胞の増殖力が保たれ、luciferinでの発光が保たれることを経験しており、今後はヌードマウスを使用する予定である。
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