1、腎細胞癌細胞株(Renca)、膀胱癌細胞株(MBT2V)を用いた担癌モデル(皮下腫瘍モデル)を作成した。 2、Renca細胞、MBT2V細胞を担癌モデルと非担癌モデルに尾静注し、肺転移を作成した。尾静注の2週間後に両モデルより採血を施行し、血清を回収した。また肺転移数を測定し、群間に有意差を認めるかを比較検討した。Renca細胞での肺転移の作成に難渋したため、MRT2V細胞を用いて検討した。MBT2Vの担癌モデルでは21.8±30.3個、非担癌モデルでは14.5±29.0個の肺転移を認め、担癌モデルにおいて転移しやすい傾向を認めたが、有意差は認めなかった(P=0.725)。両群の血清を回収しており、ELISAにて各種サイトカインを比較検討している。 3、Premetastatic nicheの組織学的検討 肺組織をF4/80により免疫組織学的染色を施行したところ、担癌モデルは非担癌モデルと比べ、有意に染色された。以上より、担癌モデルにおいて、原発巣が産生する液性因子などの作用により、マクロファージが転移先に誘導され、転移に適した微小環境を形成している可能性が示唆された。現在、S100A8、S100A9、SAA3などに着目し、Premetastatic nicheにつき組織学的検討を継続している。 4、ARB投与による転移抑制 ARB(オルメサルタン)内服により担癌モデル、非担癌モデルのいずれにおいても肺転移が有意に抑制されることを確認した。Premetastatic nicheへのARBの影響について、免疫組織学的染色、Westemblo+法を用いて検討しているが、現時点では充分な結果を得るに至っていない。今後も検討を継続する予定である。
|