研究課題
本研究では精嚢分泌タンパク質による精子膜構造の制御を介した精子運動・受精能獲得の抑制機構について明らかにすることを最終目標として研究を行っている。私はこれまでにSEMGが精子の運動及び受精能獲得過程を抑制する作用を持つことを明らかにしている。その受容分子機構についてはマウスにおける相同タンパク質SVS2に対するガングリオシドGM1の関与及び、ヒトにおいて近年明らかになったSEMGと結合するeppinとその複合体の関与が考えられるがその詳細については未だ研究途上である。最近、共同研究者らによって、SVS2KOマウスの解析が終了し、SVS2の役割は子宮における殺精子作用からの精子の保護であり、SVS2KOマウスでは精子が子宮内で死滅するために輸卵管に侵入できないこと、また、その保護作用は精子膜コレステロールの直接制御であることが示された。そこで、本年度はSEMGについても精子膜コレステロールの制御について集中して検討を行った。その結果、SEMGの作用によりコレステロールの増減は観察されたが、個体差が大きく、さらに条件検討が必要であることが判明した。一方、SEMGを含む複合体の各成分の検出は成功しているが、それらの関係については免疫沈降法でのさらなる解析が必要である。また、精子ミトコンドリア遺伝子増幅はシングルセルでの増幅が現状では困難であり、装置の購入を含め、今後の検討課題とする。本研究成果と最近の本分野の研究成果から、これまでは除去すべきものとして顧みられていなかった精嚢分泌タンパク質の生理的な役割についてその一部を明らかにすることができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc Natl Acad Sci U S A
巻: Mar 18;111(11) ページ: 4145-50
10.1073/pnas.1320715111