我々は、アロ細胞拒絶における研究において、実験を容易にするため、腫瘍細胞をマウス腹腔にアロ移植し、この細胞が腫瘍のため当初は増殖するが、その後、アロのため拒絶されるという実験モデルから、その腹腔浸潤細胞(PEC)を使用して解析してきた。 マウスアロ移植モデルにおけるアロ拒絶機構は、そのeffector細胞としては、一般的に細胞障害性T細胞(CTL)が果たしていると認識されてきた。しかし、この際のアロ拒絶機構が標的細胞により、そのeffectorは異なることを我々は示してきた。肥満細胞由来であるP815細胞はCTL感受性であり、C57BL/6マウスにアロ移植するとCTLをeffectorとして拒絶される。しかし、繊維肉腫であるMeth A細胞はCTLに抵抗性でありCTLでは拒絶できない。この際拒絶に働く細胞がアロ活性化マクロファージ(AIM)であるこのことをNK細胞との比較もふまえて検証した。PEC分画のうちの表面抗原がNK1.1陽性よりMac-1陽性の細胞に細胞障害活性が優位に高いことを確認した。またGFPマウスのeffector細胞が標的となるMeth A細胞を噛み切るように傷害する様子を蛍光顕微鏡であるBZ8000を用いて連続撮影し確認した。このことを併せて検討し、アロMethA細胞に対するeffector細胞はAIMであると判断した。(実際に臨床での拒絶反応にもAIMが関与するケースも比較的多いものと我々は考えている。) このため、我々は、AIMを抑制する方法を検証すべきと考え、ステロイド単独療法やiNOS阻害剤であるNMMA、抗TNFα抗体などをそれぞれin vitroで検討してきてが、以前に使用したトラニラストを含めて、このこれらの薬剤ではAIM細胞障害活性を確実に低下させる方法を検出するには至っていない。
|