研究概要 |
近年、多くの腫瘍抗原がcytotoxic T lymphocytes(CTLs)を誘導することが確認されており、その腫瘍抗原のペプチドを利用した癌ペプチドワクチン療法の有効性が報告されている。現在、癌ワクチン療法の適応はHLA-A2,-A24陽性患者のみで臨床に応用できるHLA-A3 supertype alleles拘束性の癌ペプチドは無いのが現状である。この状況を打開するためには日本人の46%が陽性と思われる第3のMHC class I 分子、HLA-A3 super type拘束性のペプチド同定を目的とした。 本研究に対し同意を得た前立腺癌患者より末梢血を30ccを採取し、Ficoll-Conray液による末梢血単核球細胞を遠心分離とHLA-Aをanti-HLA-A11 monoclonal antibody, anti-HLA-A31 mAbとanti-HLA-A33 mAbを使用しフローサイトメトリーにて同定しHLA-A3 supertype allelesのうちHLA-A11,-A31,-A33陽性のものを対象とした。 3種類の前立腺癌関連抗原(PTH-rP,EGFR,EZH2)のクラスI拘束性ペプチドを1抗原3~5種類合成した。次にHLA-A1101,-A3101,-A3303強発現LNCaPトランスフェクタントを樹立した。 HLAタイピング及びPBMCの採取を施行し10例がHLA-A3 supertype alleles陽性例であった。6例に対し各ペプチドにてPBMCを刺激しC1R-A11,-A31,-A33をtargetとしCTLassayを施行したところEZHペプチドの1種に対し6例中4例にてペプチド特異的CTLの誘導を確認した。
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