研究課題
私どもはヒト間葉系幹細胞株hMSC-TERT-E6/E7に転写因子SF-1を導入することで、ステロイドホルモン産生細胞へと分化誘導することに成功している。私どもは、この分化誘導メカニズムを解明するために、SF-1複合体構成タンパク質の同定を生化学的な手法を用いて行った。その結果、転写因子C/EBPβがSF-1複合体構成タンパク質の1つであることを明らかにした。そこでC/EBPβの転写調節メカニズムを明らかにするため、ChIP-on-Chip法を用いてゲノムワイドにC/EBPβのDNA結合領域を同定した。さらにC/EBPβと共にSF-1およびHistone H3リジン4番目ジメチル化(転写因子やインスレーター結合領域の検出)される領域についても検討した。その結果、遺伝子上流域にSF-1とC/EBPβが共にリクルートされる標的候補遺伝子を単離することに成功した。その候補遺伝子の1つがプロゲステロン産生を司るHSD3B2であった。そこでHSD3B2の転写が実際にSF-1とC/EBPβによって調節されているかを明らかにするために、HSD3B2プロモーター領域を単離し、この領域を含むレポーターベクターを構築した。293細胞を用いてこのレポーターベクターと共にSF-1やC/EBPβを導入し、転写活性に対する影響を検討したところ、C/EBPβ単独の導入では転写活性に影響を与えなかったが、SF-1と共に導入することでSF-1単独で導入した場合よりも転写活性が増強した。この結果から、HSD3B2の転写に対してC/EBPβはSF-1の転写活性を増強する因子であることが推察された。今後、SF-1やC/EBPβが内在性のHSD3B2の発現に影響を与えるか否か、アデノウィルス発現ベクターを構築し、解明する。
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