研究課題
私どもは間葉系幹細胞にSF-1を導入することで、ステロイドホルモン産生細胞への分化誘導系を確立している。本研究では、この分化誘導系を用いてDNAマイクロアレイとChIP-on-Chip法を併用したゲノムワイドな解析より、新たなSF-1標的遺伝子を同定した。これら因子の中からグルタチオントランスフェラーゼA3(GSTA3)、5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS1)およびフェレドキシンリダクターゼ(FDXR)に着目し、SF-1によるエピジェネティックな変化を介した転写制御メカニズムおよびステロイド産生に対する役割の解明を試みた。(1)ALAS1およびFDXRの転写制御メカニズムとステロイド産生に対する役割ヘム合成律速因子ALAS1の転写調節メカニズムについて検討したところ、転写開始点上流3.5kbにSF-1が結合することで活性化され、さらにこの領域を介した転写の活性化には組織特異性があることを明らかにした。一方、P450の電子伝達に関与するFDXRは転写開始点近傍にSF-1が結合し、エピジェネティックな変化を介して転写が活性化されることを明らかにした。以上の結果から、ALAS1とFDXRがSF-1によって発現誘導されることで、P450ファミリーに属するステロイド代謝酵素の活性化に関与していることが示された。(2)GSTA3の転写制御メカニズムとステロイド産生に対する役割GSTは解毒作用を持つことで知られているが、このファミリーの中でGSTA3が、プロモーター領域へのSF-1結合依存的に転写調節されていることを見いだした。そしてこの領域においてnucleosome evictionとhistone modificationがSF-1依存的にひき起こされることを明らかにした。さらにGSTA3がステロイド合成に関与することを明らかにし機能的にも重要な因子であることが示された。
すべて 2011
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