研究課題
本研究における現在までの検討にて、卵巣明細胞腺癌の発癌には17番染色体の異常と当該染色体上に存在する遺伝子が関与することを報告してきた。本年度も引き続き解明した遺伝子に着目し研究を遂行した。研究内容として卵巣癌培養細胞株を用いた基礎的検討および患者臨床検体に対する解析を主体とした。卵巣癌培養細胞株に対する検討では、17番染色体上に存在する遺伝子であり、卵巣明細胞腺癌に高発現するHNF1βの機能解析を目的として検討を行った。卵巣癌細胞株に対するHNF1β高発現株および低発現株に、リポフェクタミンにてHNF1βsiRNAを遺伝子導入後、継時的にRNAおよび蛋白を回収して発現解析を行い、細胞増殖能をMTTasseyにて測定した。検討の結果、HNF1β高発現細胞株では低発現株と比較し、siRNA遺伝子導入後の細胞株において、HNF1βのmRNAおよび蛋白発現現弱と細胞増殖抑制効果が認められた。HNF1β高発現卵巣癌における癌増殖には当該遺伝子の関与が示唆され、本結果は学会にて発表した。患者病変組織における検討では、卵巣癌発癌機構の解明を目的とし、TP53遺伝子変異の局在を検出した。卵巣癌病変部の病理組織切片より、卵巣癌上皮細胞と直下の間質細胞について、p53蛋白発現を免疫組織染色にて比較し、各目的細胞を個別にレーザーマイクロダイセクション法にて単離してTP53遺伝子変異を検出した。検討の結果、16例中1例の卵巣癌患者組織にて癌細胞と間質細胞に、同様の変異がTP53遺伝子エクソン内に検出され、また両部位には蛋白発現も検出された。解析結果より卵巣癌発癌の一要因として、起源となる細胞に間質細胞からの関与が推測された。本解析結果は論文作成して投稿した(akahane T et all Int Gynecol Pathol 2013)。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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