頭頸部癌細胞を用いて,TRIM32に特異的に結合するマイクロRNAを網羅的に同定し,そのマイクロRNAがTRIM32によって活性化されているかを解析し,また,同定されたマイクロRNAのターゲット遺伝子を同定して,それらマイクロRNAとターゲット遺伝子が実際の臨床検体ではどのように発現し,さらに,その臨床データと相関するかを検討することを目的に,研究を行った。 細胞内にマイクロRNAとTRIM32を形質導入することで,細胞の機能変化(腫瘍増殖,アポトーシスなど)を検討.また哺乳類細胞に同定されたマイクロRNAを形質導入して過剰発現させることで,細胞の機能アッセイを行いTRIM32も共発現させることで,その機能の変化を細胞増殖実験、腫瘍増殖実験、シスプラチンに対するアポトーシス実験にておこなった。 また、臨床標本(新鮮凍結標本およびホルマリン固定標本)を用いて,同定されたマイクロRNAとそのターゲットタンパク質,およびTRIM32の発現を解析し,癌の進行度,予後など比較検討した結果、TRIM32に特異的に結合するマイクロRNAとしてmiR-134を同定した。その後、ルシフェラーゼアッセイによりmiR-134の活性化を調べたかが、活性化は確認できなかった。その後、細胞株を変更して同じく実験を行ったが同様の結果であった。また、TRIM32を過剰発現させた細胞株、またはノックダウンさせた細胞株でもmiR-134の活性化、発現量の変化は確認できなかった。 当該研究は最終年度であるが、引き続きルシフェラーゼアッセイに用いるプラスミドのデザインの再検討をおこない、細胞株を変更して、TRIM32に特異的に結合するマイクロRNAを新たに同定し、同定されたマイクロRNAの活性化の確認とターゲットタンパク質の発現解析をおこなう予定である。
|