本研究において、頭頸部癌患者の骨髄系抑制細胞(MDSC)について探索的な検討を行った。頭頸部扁平上皮癌患者は健常者と比較し、末梢血単核球分画中にMDSCの有意な増加を認めた。末梢血単核球分画よりCD15(+)の細胞を除去するとT細胞の活性化が増強されることを確認した。またMDSCの比率と末梢血リンパ球の比率には有意な逆相関が見られ、特にT細胞の比率と有意な逆相関が認められた。この結果から、MDSCは頭頸部癌患者の末梢血中に増加し、T細胞を減少させるとともに活性化を抑制することで腫瘍免疫を抑制することが示唆された。MDSCをターゲットとした治療開発は、頭頸部癌患者の抑制された免疫を賦活させる新たな戦略となる可能性が考えられた。
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