本研究の目的は、PMP22を原因遺伝子とし臨床的および遺伝学的な多様性を有する運動感覚性ニューロパチーであるCharcot-Marie-Tooth病(CMT)のCMT 1が合併症として感音難聴を示すことがあることに着目し、さらに近年の報告では蝸牛障害も呈することが判明していることと解明するために、マウスを実験動物として用い、pmp22の内耳内局在と難聴発症の分子機構を解明し、聴力障害の予防および治療に関してアプローチしてゆくことである。 平成22年度はその準備段階として動物実験モデルを用い、蝸牛神経および蝸牛内のpmp22の発現を免疫染色法を用いて同定し、今後pmp22変異マウスでの聴覚の電気生理的結果と、組織学的結果を照らし合わせ、pmp22の内耳機能および難聴発症機序を究明する。さらにヒト蝸牛内の発現も解析し、ヒトでの再現性についても検証する予定とした。コントロールとしてC57BL/6を用いてpmp22のコードするタンパクであるPeriphral myelin protein (pmp22)の内耳内の局在を免疫染色法により走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。観察方法としては蝸牛内は主としてsurface preparationを用い、蝸牛神経はfrozen sectionを併用し、免疫染色は、EmbryoとPostnatal miceで経時的に行い、現時点でその局在を解析中である。また、pmp22変異マウスTr-Jに関しても同様に免疫染色法を施行しコントロールとの染色性の比較し、pmp22の蝸牛神経内の発現の同定および蝸牛内での発現を解析中である。
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