加齢性難聴においても、多臓器の加齢性変化と同様にミトコンドリアDNAの多型が病態に寄与していることが示唆されている。またミトコンドリアDNAの多型と運動能力の関連などが明らかになって来た。加齢性難聴患者と正常聴力の高齢者から採取した血液から抽出したDNAを用い、ミトコンドリアDNAの変異、多型の解析を施行し、その両群間や聴力との関係を解析する。これにより、加齢性難聴の分子病理の解明の一助となることを目指した。これまでに引き続き、加齢性難聴患者と健常者から書面で同意を得た上で引き続き採血を施行した。ここからQIAamp DNA Blood Mini Kitを用いて抽出したDNAに対し、ミトコンドリアDNAの網羅的な多型解析と変異解析をこれまでに287検体に対して施行した。加齢性難聴群と正常聴力群での差異の比較や、患者データとして聴力を把握しているので、この数値との相関を検討した。今後さらに検体数を増やし、このデータをより精密なものとする予定である。またこれに平行して、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科で採取された遺伝性難聴疑いの患者血液から抽出したDNAを用いてミトコンドリアDNAの多型解析を施行しコントロール群と比較した。この結果難聴群ではハプログループD4bに属する頻度が有意に高いことを確認した。更なる詳細な検討ではハプログループD4b2群が有意に高いことを確認し、これについては論文を発表した。
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