T細胞は抗原提示細胞からT cell receptorを介して抗原提示を受ける際、共刺激分子の働きによって、T細胞活動を促進、もしくは抑制の方向に傾ける。今回、アレルギー抑制作用のあるCpG-DNAによって、抗原提示細胞であるヒト末梢血B細胞上の共刺激分子リガンドがどのように変化するかを検討した。これまで、CpG-DNAによって共刺激分子リガンドがどのように変化するかということは、あまり検討されてこなかった。我々は、ヒト末梢血からMACSシステムを用いて、B細胞を分離して、CpG A typeおよびB typeでB細胞を刺激した。real time PCRを用いて、B細胞上の共刺激分子リガンドの発現を6時間後にreal time PCRを用いて調べたところ、CpG-B typeの刺激によって、T細胞活動を抑制する補助刺激分子PD-1のリガンドでB細胞上に発現している分子であるPD-L1の発現が亢進することが確認された。また、T細胞の活動を促進する共刺激分子ICOSのリガンドでB細胞上に発現している分子、B7RP-1は、CpG B typeの刺激で発現が抑制されることが分かった。同じく、T細胞活動促進系の共刺激分子CD30のリガンドであるCD30Lの発現もCpG Btypeで抑制されることが判明した。CpGでの刺激後の共刺激分子リガンドの発現定量までの時間は6時間、12時間、24時間、48時間と変化させたが、6時間後が最も共刺激分子リガンドの発現亢進や抑制の度合いが大きかった。また、刺激するCpGの濃度は、共刺激分子リガンドの発現が最も促進または、抑制される1μMで実験を行った。以上の結果により、CpGが抗アレルギー作用を発揮機序の一つとして、CpGによる共刺激分子リガンドの発現変化が考えられた。また、今後、共刺激分子の発現を抗原特異的に制御できるようになれば、アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)などの疾患の治療につながる可能性があると考えられる。
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