研究概要 |
アレルギー疾患の発症、増悪に深く関係する酸化ストレスを受けた場合、CYP1A1が働き、ストレス解消に働く。本研究は、遺伝子多型の手法を用いて酸化ストレス代謝酵素CYP1A1の多型とアレルギー性鼻炎の発症について検討するとともに、CYP1A1遺伝子多型の機能解析を行なうことが目的である。 CYP1A1を高発現する細胞株を選出するために、23種の細胞株(RAJI, THP1, HL60, U937, Jurkat, Molt4, Daudi, Molt3, K562, KU812, LAD2, MRC5, MCF7, HEK293, HeLa, A549, BEAS2B, HepG2, MRC5, NHBE, NHLF, SAEC, BSMC)からCYP1A1遺伝子発現をスクリーニングした結果、HepG2で高発現を認めた。 プロモーター領域におけるSNPsが転写調節に及ぼす影響の解析をするため、イントロンSNPにおける25塩基の配列をプラスミドベクターに挿入し、上記スクリーニング実験にて選出した細胞株をもちいてルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、intron 1のSNPでのリスクアレルAを挿入したベクターにおいて、低い転写活性を認めた。 これまでに申請者は、CYP1A1遺伝子のイントロンにおける遺伝子多型(SNP)が、アレルギー性鼻炎発症と有意な相関を示していることを見いだしている。アレルギー性鼻炎619例対健常人311例の結果、SNP rs4646421において、p=0.002, odds ratio ; 95%C.I.=1.1-1.7であった。すなわち、酸化ストレスによる反応の違いがSNPによって決定されている可能性がある。
|