研究課題/領域番号 |
22791587
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏明 信州大学, 医学部, 助教 (00419368)
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キーワード | 内耳 / 遺伝子 / 感音難聴 / SLC26A4 |
研究概要 |
先天性難聴は新出生児1000人に1人に認められる頻度の高い先天性障害の一つである。その原因の50%は遺伝子によるものと報告されており、現在までにおおよそ60種類の原因遺伝子が同定されており、一部が遺伝子診断として臨床で実施されている。 遺伝子診断で得られた情報を適切に臨床にフィードバックするためには、さらに多くの症例にて日本人におけるSLC26A4遺伝子変異のデータベース化を行い、日本人における遺伝子変異の種類と頻度、遺伝子型と表現型の関連性につき明らかにすることが必要である。 本年度は、先天性難聴患者を対象にインベーダー法による遺伝子解析を行い、SLC26A4遺伝子変異が認められた症例に対して臨床情報を収集するとともに、インベーダー法によるスクリーニング検査でヘテロ接合体変異のみ検出された症例を対象に、直接シークエンス法を用いてSLC26A4遺伝子の全エクソンの配列を決定することで新規遺伝子変異の探索を行った。 その結果、複数の新規遺伝子変異を同定することができた。特に、IVS15+5A>G変異は関西~沖縄までの難聴患者に比較的高頻度で認められる遺伝子変異であった。 また、これらの症例を対象に、カロリック検査およびVEMP検査を施行し、SLC26A4遺伝子変異による難聴症例の前庭機能(特に半規官機能および球形嚢の機能)に関するデータの収集を行った。また、各遺伝子変異の種類ごとにその聴力像・前庭機能評価結果のとりまとめを行い、遺伝子変異の種類と臨床像との相関解析を実施したが、現在までのところ著明な相関は認められていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初に予定していた通りに遺伝子解析が進行し、新規遺伝子変異を複数見出した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、遺伝子解析が進行し、新規遺伝子変異を複数見出し、日本人難聴患者におけるSLC26A4遺伝子変異の割合など重要な情報がえられた。次年度以降はその臨床像の精査を行い、臨床にフィードバックするためのデータベースと遺伝子型との相関解析を進める。
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