研究課題
下丘の投射ニューロンに対して大脳皮質からの下行性入力が形成するシナプスの分布パターンを可視化するという初期の目的に対し、蛍光標識による観察下で十分な強度のシグナルを得る必要があり、実施上の技術的な課題があったが、本年度は組換えシンドビスウイルスを用いた下行性入力の標識をさらにチラミド法によって増幅することで問題を解決した。肉眼でも大脳皮質からの投射線維を観察することが十分可能な蛍光強度を得ており、逆行性に標識されたニューロンとの接触を観察することに成功している。もう一つの進歩は投射を受ける下丘側について、十分多くの投射を受けており観察が容易であるのは中心核よりもむしろ外側皮質・および背側皮質などのいわゆるベルト領域であることが分かってきたことである。この領域の投射ニューロンを扱うに当たって、その化学的性質について調べ、学会報告している(第17回聴覚研究フォーラム・第118回日本解剖学会)。大脳皮質聴覚関連領域から下丘外側皮質・背側皮質ニューロンへのシナプス形成はNeuro2013(日本神経科学学会)で聴覚関連領域からの下行性投射系の形態学的解析として発表予定である。一方この下行性投射線維そのものの形態についても昨年度より数理解析などの試みを行ってNeuro2012(日本神経科学学会)などで発表された。全体としては、優先的解析対象をより強い投射のあるベルト領域に移したものの、当初計画の神経回路解析についてデータをとりつつある状況まで進展している。技術的問題について解決する必要があったため、その結果をまとめるところまでは至らなかったが、副産物的な成果や学際的な展開が見られた。加えて音響関係および画像解析関係で共同研究を進めることになった京都大学情報学研究科への研究協力の実施は応用領域での成果が論文となったので実績として報告する。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. Auditory Res. Meeting, The Acoustical Society of Japan
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巻: 42 ページ: 299-302
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