本年はTh2タイプの免疫反応を誘導する上皮細胞から誘導されるサイトカインであるIL-33とIL-25を中心に研究を行ってきた。まず、IL-33の放出のメカニズムについて気道上皮細胞を用い検討した。IL-33は恒常的に気道上皮細胞の核に蓄積されており、環境アレルゲンであるアルテナリアを細胞に暴露すると、細胞内カルシウムの濃度が上昇し、IL-33を細胞外へ放出し、Th2タイプの炎症を惹起することがわかった。次に、細胞内カルシウムの増加には、抗原刺激にて生じるATPが放出され、それがATP受容体(P2受容体)であるP2Y_2、P2X_7受容体を介していることを確認した。In vivoで非感作マウスに対してアルテナリア点鼻後にIL-33が放出され、この放出にはP2受容体が関与していることがわかった。この結果から、呼吸上皮におけるATPおよびP2受容体のシグナルはアレルゲン暴露に対してセンサーの役割をもち、この反応がTh2タイプの気道炎症に深く関与していることが示唆された。 次にIL-25の産生メカニズムについて、気道上皮細胞を用いて検討した。IL-25は、気道上皮細胞に対するハウスダストやブタクサ刺激で産生が増加することが分かった。また、恒常的にIL-25は細胞内に蓄積されており、細胞壊死にても細胞外に放出されることも分かった。これら抗原に含まれるセリンおよびシステインプロテアーゼ刺激でIL-25発現が更新し、PAR-2受容体をノックダウンすることでIL-25発現が抑制されることがわかった。これらの結果から気道上皮細胞におけるIL-25発現は、アレルゲン由来のプロテアーゼ暴露により誘導され、この過程においてPAR-2受容体が重要な役割を果たすことが示唆された。
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