研究課題/領域番号 |
22791594
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
神前 英明 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10402710)
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キーワード | 気道上皮細胞 / アレルゲン / サイトカイン / プロテアーゼ |
研究概要 |
昨年度は気道上皮細胞からのIL-25産生のメカニズムについて研究を行った。IL-25はType2の自然リンパ球からIL-5,IL-13などTh2サイトカインの産生を誘導する。我々は空中アレルゲンに含まれるプロテアーゼが気道上皮細胞におけるIL-25産生を促すと仮定した。 正常気道上皮細胞株、正常鼻粘膜上皮細胞に各種アレルゲン、TLRリガンドを刺激した。ダニアレルゲン刺激後の細胞生存率を分析した。モデルプロテアーゼであるトリプシン、パパイン、また、ダニ主要アレルゲンが刺激された。プロテアーゼとダニアレルゲンの対象と推測される受容体の関与は、生化学的手法やsiRNAにより分析された。IL-25産生はreal-timePCR法、ELISA法にて測定された。 静止中の上皮細胞にIL-25は貯蔵されていることが分かった。上皮細胞へのダニアレルゲン暴露によりIL-25は誘導され、貯蔵される蛋白も増加することが確認できた。その誘導には細胞死、活性化のメカニズムが存在した。モデルプロテアーゼ、ダニ主要アレルゲンの暴露でもIL-25が誘導された。ダニアレルゲン暴露によるIL-25誘導は熱感受性であり、プロテアーゼ阻害剤、又は、PAR-2受容体のノックダウンにより抑制された。正常鼻粘膜上皮細胞でもダニアレルゲン暴露によるIL-25発現は亢進した。 気道上皮細胞におけるIL-25発現は、アレルゲン由来のプロテアーゼ暴露により誘導され、この過程においてPAR-2受容体が重要な役割を果たすことが示唆された。アレルゲン含有プロテアーゼがIL-25産生を促進させ、Th2タイプの気道炎症悪化、促進に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すてにIL-33については論文で公開され、IL-25の産生のメカニズムについても現在、論文に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
上皮細胞からのアレルゲンによるTSLP,IL-25、IL-33産生のメカニズムについては、その受容体や機序について、証明された。今後は、鼻副鼻腔疾患の上皮細胞を用い、これらサイトカインの産生を規定する因子について検討を行っていく予定である。
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