研究課題
良性発作性頭位めまい症とはめまいを症状とする疾患の中で最も頻度の高いものであり、内耳の一部分である三半規管の障害により生ずる疾患である。通常は一か月以内にめまい症状はなくなるが、半年以上、めまい症状が続く症例や、再発を何度も繰り返す症例も存在する。当研究では、良性発作性頭位めまい症に罹患したときに誘発される、異常眼球運動の一種である病的眼振を眼球運動三次元解析の手法を用いて解析し、得られた結果から、その症例が以後、どれくらいの期間、めまい症状が続くかを推測することを目的とした。後半規管型の良性発作性頭位めまい症では上眼瞼向きの眼振を示す。良性発作性頭位めまい症ではなく、長期にめまいが続く、小脳腫瘍の症例でも上眼瞼向き眼振を示すことがある。これら二種類の上眼瞼向き眼振を解析し、その違いを明かにした(Auris Nasus Laryny, 2012)。良性発作性頭位めまい症の眼振は後半規管の形成する平面に対し垂直な回転軸周りの眼球運動であったが、上眼瞼向き眼振を示す小脳腫瘍症例では、両耳間を結ぶ回転軸周りの眼球運動であった。四種類の異なる眼振が移行する、複雑で、一件、脳の障害と診断されてしまいそうな症例の眼振を三次元解析することにより、この症例も良性発作性頭位めまい症の一種であることを示し、めまい症状が続く期間は短い症例であることを示した(Auris Nasus Laryny, 2011)。当研究では眼振解析により、予後を推測することを目的としたが、解析に十分な強さの眼振を示さない症例、もしくは肉眼上、全く眼振が観察されない症例も存在した。そのような症例には眼振から診断すらできないので、問診から良性発作性頭位めまい症を診断し、その患側、およびサブタイプまで診断する方法を開発した(Acta Otolaryngologica, 2012)。
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Auris Nasus Larynx
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