痙攣性発声障害の治療法である甲状軟骨形成術II型によって声の震えが改善するのは、長期的な声門開大による発声様式の変化が中枢に伝えられ、神経・筋組織に影響を及ぼしていると予想した。そこで甲状軟骨正中切開声門開大動物モデルを用いて、長期的な声門閉鎖不全状態が内喉頭筋や神経に与える影響を詳細に検討することで、痙攣性発声障害に対する甲状軟骨形成術II型の効果が間接的に神経・筋に影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした研究を行っている。 甲状軟骨正中切開による声門閉鎖不全動物モデル(甲状軟骨形成術II型モデル)の作成を行った。Wistar系ラットを用い、全身麻酔下にラット甲状軟骨を正中で切開した後、以下の2種の処置モデルを作成する:(1)正中切開のみ(対照群)、(2)シリコンシムを甲状軟骨切開部に挿入し固定する(甲状軟骨形成術II型群)。またコントロール群乏して(3)無処置ラットも準備する。シリコンシムの大きさ(声門開大幅)はラットが鳴いた際の音が有響音から無響音に変化する程度の大きさとすることとした。ラットの甲状軟骨が非常に小さいためシムの固定とシムの大きさが安定しないこと。またラットはほとんど鳴かないため、有響音と無響音を決めることが難しいため安定したモデル動物となっておらず、平成23年度は摘出喉頭で発声を確認したモデルを作成することにして、予定実験を遂行する。
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