研究概要 |
近年盛んに検証されている舌下免疫療法の基礎的裏づけと,効率的な特異的免疫療法の確立のため,口腔粘膜上皮と樹状細胞の相互作用について検討することを目的とする。生体防御の最前線である口腔・咽頭粘膜では,免疫応答誘導あるいは免疫寛容のための抗原の認識・提示が行われ、この機構には上皮細胞と樹状細胞の相互作用と連携が不可欠である。特に,樹状細胞の活性化や上皮内への突起の伸長の調整は抗原認識に重要な点であろう。今回の研究の特徴は、申請者が開発したテロメラーゼ遺伝子導入培養ヒト粘膜上皮細胞を用い,単に免疫療法の機序解明だけでなく,抗原認識機構の調節により獲得免疫の賦活化や免疫寛容の誘導に結びつけるという将来性のある研究を目指している。 in vivo解析 <口腔粘膜-扁桃上皮に分布する樹状細胞の性状の解析> 抗原提示細胞(M細胞および樹状細胞)と上皮のバリア機能との関係を検索するために,抗原提示細胞の様々なマーカーとタイト結合関連蛋白の2重染色により共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に題察した.さらに,粘膜下の樹状細胞との性状の違いを紐織学的に検討した n vitro題析 <テロメラーゼ遺伝子導入培養口腔粘膜細胞系の確立> テロメラーゼ活性化により初代培養ヒト口腔粘膜上皮細胞を不死化させ正常ヒト口腔粘膜上皮細胞株を樹立に成功した。この系を用いて、種々の刺激条件でのバリア機能を解析した。 <noncontact cocluture system(共培養システム)を用いた解析> 培養ヒト鼻粘膜上皮と培養ヒト鼻粘膜線維芽細胞とのnoncontact cocluture systemを用いてin vivoに近い状態での樹状細胞との関連を探った.さらに、種々の分子量の物質の透過性や樹状細胞への物質の取り込みなどの調節機構を探った。この培養上清を用いてリンパ球機能の変化についても検討した。
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