研究概要 |
平成24年度研究期間の間には、高齢者の病理解剖検体9人9耳より摘出したヒト側頭骨より内耳組織を採取し抽出したtotalRNAを用いて、マイクロアレイ解析を行ったデータの比較解析を行った。 高齢者9検体のうち1検体は検体不良で解析に用いることはできなかった。前期高齢者群と後期高齢者群、男女、生前難聴の有無についての検討を計画したが、生前難聴の有がすべて後期高齢者であったため、年齢別と性別による比較を行った。 データを比較するに際して、それぞれの2群におけるt検定での比較を検討していたが、検定の性質上発現量の低いものがより上位に来やすいと言う傾向があるため、miRNA発現の様にmiRNAの種類によって発現量に大きな差があるものでは必ずしも正しいとは言えないと考えられる。そのため解析結果の信頼性向上のため、t検定と2-Fold change(2倍以上の発現量変化のあるもの)を組み合わせた解析、t検定を改良し発現量による影響を少なくしたSignificance analysis of microarrays (SAM) 解析 (Tusher et al., PNAS, 2001)、Fold changeの相乗平均を用いたRank products解析 (Breitling et al., FEBS Lett., 2004)などを用いて解析を行った。 その結果、前期高齢者では後期高齢者に比べ、16種のmiRNAで優位に発現量が多かった。また、女性では男性に比べ、23種のmiRNAで優位に発現量が多く2種のmiRNAで発現量が少なかった。 これらの解析結果については現在論文作成中である。 また、ヒト血液からのmiRNA解析法については、マイクロアレイ解析でPreAmp protocolを用いる事により解析可能であることを確認した。
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