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2011 年度 実績報告書

アレルギー性鼻炎におけるTh2サイトカイン制御因子としてのZNF143の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22791640
研究機関産業医科大学

研究代表者

若杉 哲郎  産業医科大学, 医学部, 助教 (20461569)

キーワードZNF143 / Th2サイトカイン / 好酸球 / アレルギー性鼻炎
研究概要

転写因子ZNF143が、Th2サイトカインの転写制御に強く関わり、アレルギー応答としての高IgE血症や好酸球増加症を生じている可能性を示し、アレルギー性疾患の新たな治療標的を提唱する研究である。今回用いた検体は、ヒト鼻粘膜(通年性アレルギー性鼻炎群:AR群、および対象のRAST陰性肥厚性鼻炎群)である。まず、3つのTh2サイトカイン(L-4,5,13)、および2つの転写因子(GATA.3、ZNF143)のmRNA発現量を定量的RT-PCR法で比較した。3つのTh2サイトカイン全てが、AR群で有意に上昇していた。しかし、2つの転写因子は、アレルギーの有無で発現の差はなかった。さらに、血中の総IgE値/総好酸球数と、対象とした5つのmRNA発現量の関係を比較検討した。IL5の発現量と、総IgE値および総好酸球数、またIL13と総IgE値の間には有意な正相関があり、Th2サイトカインがアレルギー病態へ関与しているという以前の報告と一致した。興味深いことに、Th2サイトカイン制御のマスターレギュレーターとされるGATA-3は、これらの因子と相関関係を認めなかった。しかし、ZNF143と(1)IL5、(2)IL13、(3)総IgE値の発現量の間に有意な相関を認め、ZNF143がアレルギー病態に関係している可能性が、初めて示された。この結果から、ZNF143が、GATA-3の補助活性化因子として働いているのではないかと考えている。今後、Luciforase assayで転写調節機構を検討したい。またGATA-3と各因子との間に量的な相関関係がなかったのは、GATA-3の持つSNPによるものではと推察をしており、SNP解析で確認をしたい。さらに、Th2以外のT細胞分化に関わる因子に関しても、今回同様に定量的RT-PCR法を用いて、更なる検討を追加したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定していた以上に、定量的RT、PCR法に経費がかかったため、培養細胞を用いた実験系の導入が困難となった。従って、大学内の共同施設などを利用して実験を行いたいと考えている。

今後の研究の推進方策

ヒト鼻粘膜におけるGATA-3によるTh2サイトカイン転写調節機構は、今回の結果で、容量依存性ではないことが明らかとなった。その理由として、(1)ZNF143とGATA-3の分子会合を起点とした転写調節機構が存在すること、(2)GATA-3のSNPによる機能異常、を考えている。(1)に関しては、今後培養細胞を用いた実験系で確認をする予定で、(2)については、本学の倫理委員会に通し、対象およびコントロール症例からルーチンで行う採血の一部を利用してDNAを集め、SNP解析を行う予定である。また、Th2以外のTh1などへのT細胞分化因子についても、定量的RT-PCR法で検討し、ナイーブT細胞のTh2への分化過程を明らかにすることも検討している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 頭頸部癌におけるシスプラチン耐性の分子機序2011

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 雑誌名

      耳鼻咽喉科臨床

      巻: 104 ページ: 161-170

  • [雑誌論文] Expression of epidermal growth factors, erbBs, in the nasal mucosa of patients with chronic hypertrophic rhinitis2011

    • 著者名/発表者名
      Nguyen KH, Wakasugi T, 他
    • 雑誌名

      ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec

      巻: 74 ページ: 57-63

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prediction model for hearing outcome in patients with idiopathic sudden sensorineural hearing loss2011

    • 著者名/発表者名
      Suzuki H, Wakasugi T, 他
    • 雑誌名

      Eur Arch Otorhinolaryngol

      巻: 268 ページ: 497-500

    • 査読あり
  • [学会発表] GATA-3に会合する新規分子ZNF143とTh2サイトカインの発現解析2012

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 学会等名
      第30回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル(大津)
    • 年月日
      2012-02-17
  • [学会発表] 頭頸部癌における転写因子ZNF143の機能についての検討2011

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 学会等名
      第264回北九州耳鼻咽喉科臨床懇話会
    • 発表場所
      リーガロイヤルホテル小倉(北九州)
    • 年月日
      2011-11-16
  • [学会発表] シスプラチンによるDNA障害に対する転写因子ZNF143とp73の協調的作用の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 学会等名
      第35回日本頭頸部癌学会
    • 発表場所
      ウインク愛知(名古屋)
    • 年月日
      2011-06-09
  • [学会発表] 頭頸部癌におけるシスプラチン感受性/耐性因子としての転写因子ZNF143の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 学会等名
      第112回日本耳鼻咽喉科学会総会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都)
    • 年月日
      2011-05-18
  • [図書] 耳鼻咽喉科診療私のミニマム・エッセンシャル2011

    • 著者名/発表者名
      若杉哲郎, 他
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      全日本病院出版会

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公開日: 2013-06-26  

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