研究課題
本年度は、抗体の購入、実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)への抗体投与実験、ハイブリドーマ細胞の入手、抗体精製を行った。まずマウスに網膜抗原ペプチドを免疫することでEAUを誘導し、そこへ2種類の調節性T細胞を抑制する抗体を投与する実験をおこなった。調節性T細胞を抑制する抗体として、Glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor-related protein(GITR)の抗体であるDTA-1と4型葉酸受容体(FR4)の抗体であるTH6を用意した。どちらか一方の抗体を、EAU免疫日(day0)に100μg静脈注射し、コントロール群にはrat IgG2bkを注射した。当初予定した実験では、コントロール群と2種類の抗体投与群とでEAUの重症度に差は出なかったため、抑制抗体の投与日の調整、投与量の増量が必要と考えた。そこでDTA-1とFR4の抗体産生能を持つハイブリドーマ細胞を京都大学再生医科学研究所から分与していただいた。ハイブリドーマ細胞を培養し安定して抗体が精製できるようになり、抗体投与日をday0,3,7,10、投与量をDTA-1を400μg、TH6を200pgと増量した上で抗体投与実験を再度行った。その結果、TH6群はコントロール群に比べday11で臨床スコアが高く、day21で低い傾向がみられた。この結果は抗FR4抗体投与により制御性T細胞が抑制され眼内の炎症が強くなること、また、抗体の投与中止後は制御性T細胞が抑制されなくなり、炎症が持続したものと考えて矛盾のないものであった。我々の仮説が正しいことがほぼ示されたが、今後は再現性の確認、day11前後での制御性T細胞の増殖能、抑制能の検討、その際の各種炎症サイトカインの検討などを行いたい。
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巻: (印刷中)
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