研究課題
加齢黄斑変性は社会的中途失明の原因として注目されており、その発症には血管内皮増殖因子(VEGF)が関与していることが知られている。しかし、VEGF遺伝子多型と加齢黄斑変性の発症との相関は解明途上であり、本研究では発症との相関および臨床病態との相関を検討した。まず、日本人の加齢黄斑変性患者および対照群から得られた血液サンプルを使用して、VEGF遺伝子中のtag SNP(rs699946、rs699947、rs3025033、rs3025035)と加齢黄斑変性発症および治療効果との相関を検討したところ、発症には相関を認めなかったが、rs699946は抗VEGF治療薬の単独使用および抗VEGF薬にステロイド剤および光線力学療法を併用した2種類の治療後の視力予後と相関を認め、G対立遺伝子を持つ患者では治療後1年間の視力変化が有意に良好であった。しかし、1年間に必要とした治療の回数や、治療後の再発の有無には相関を示さなかった。一方で、滲出型加齢黄斑変性と同様に脈絡膜新生血管を発症し得る病態に強度近視がある。そこで、VEGF遺伝子の多型が強度近視眼における脈絡膜新生血管の発症および進展に相関を持つかどうかを検討したところ、発症には相関を認めなかったが、新生血管のサイズに相関を認めることが分かった。これらの研究結果から、滲出型加齢黄斑変性、強度近視ともに、脈絡膜新生血管を生じた際にはVEGF遺伝子多型を調べることによって、その予後・治療反応性が予測できると考えられたため、今後はVEGF rs699946の迅速診断キットを作成し、個別化医療を実現していく予定である。
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