研究概要 |
この研究は、加齢黄斑変性治療のもたらす総合的なQOL改善効果と経済効率性の評価を目的として計画された研究であり、加齢黄斑変性、中でも日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症や類似した病態とも考えられている中心性漿液性網脈絡膜症、強度近視に伴う脈絡膜新生血管や毛細血管拡張症などへの抗VEGF療法の治療効果を行い、さらに病態観察を新開発の補償光学適応レーザー走査型顕微鏡や光干渉断層計も用い丹念に行い検討を加えた。具体的には、加齢黄斑変性の中でも定義が明確なポリープ状脈絡膜血管症を有する症例において、抗VEGF療法の効果(Tsujikawa A, Jpn J Ophthalmol. 2010)や近視性脈絡膜新生血管に対する抗VEGF療法2年後の視力予後測定因子の検討(Nakanishi H, Eye. 2011)、1型毛細血管拡張症に対する抗VEGFの治療効果(Takayama K, Eye. 2010)を報告した。また、最新型の高解像度高速光干渉断層計による詳細な観察により判明したポリープ状脈絡膜血管症と中心性漿液性網脈絡膜症の間の網膜微小変化の差違(Ooto S, Retina. 2011)や、加齢黄斑変性におけるポリープ状病巣の発生(Tsujikawa A, Eye. 2011)やコンフルエント軟性ドルーゼンを有する眼の微小網膜感度と形態変化の関連性(Iwama D, Clin Experiment Ophthalmol. 2010)を報告した。また、日本人の加齢黄斑変性における僚眼発症とARMS2遺伝子多型の関連性に関しては国内での学会報告で得られた新たな知見を加えて論文執筆中である。
|