研究概要 |
この研究は、加齢黄斑変性治療のもたらす総合的なQOL改善効果と経済効率性の評価を目的として計画された研究である。加齢黄斑変性、中でも日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症や類似した病態とも考えられている毛細血管拡張症などへの光線力学療法や抗VEGF療法の治療効果評価を行い、さらに病態観察を新開発の補償光学適応レーザー走査型顕微鏡や光干渉断層計も用い丹念に行い検討を加えた。一方で、眼科治療のもたらすQOL改善効果と経済効率性の評価を行うことができた。具体的には、加齢黄斑変性の中でも定義が明確なポリープ状脈絡膜血管症を有する症例において、PEDF遺伝子型による光線力学療法への反応性の違い(Nakata I, Ophthalmology.2011)や病変の大きさと視力予後の関連性(Tsujikawa A, Graefes.2011)、光線力学療法と抗VEGF薬併用療法の治療成績(Tomita K, AJO.2011)について報告した。また、加齢黄斑変性における網膜形態所見と視力予後の関連性(Akagi-Kurashige Y, Graefes 2012)や抗VEGF薬の治療成績(Yamashiro K, AJO 2012)についても報告した。毛細血管拡張症の詳細で総合的な病態変化(Takayama K, Retina 2012)を行い報告した。 また日本人に対する白内障治療のQOL改善効果と経済効率性の評価(ECCERT,JJO.2011)を報告した。また、日本人の加齢黄斑変性における僚眼発症とARMS2遺伝子多型の関連性に関しては国内での学会報告で得られた新たな知見を加えた論文を英文誌に投稿し査読継続中である。
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