研究課題
今までに我々は、脈絡膜血管新生の病態における樹状細胞の重要性について報告した。今年度我々は下記の実験を施行した。まず、樹状細胞ノックアウト遺伝子改変マウスを入手し、レーザー照射による脈絡膜新生血管のサイズを正常マウスと比較検討した。その結果、ノックアウトマウスにおいて、樹状細胞を除去するにはジフテリア毒素(DT)の投与が必要であるが、PBS投与群と比較すると、樹状細胞が除去されたDT投与群においては、有意に脈絡膜新生血管サイズの縮小を認めた(t=0.0037)。しかしながら、PBS投与ノックアウトマウスと、同じ背景を持つC57 Blackマウスの脈絡膜新生血管サイズを比較すると、PBS投与ノックアウトマウスでは、サイズは同じと予想されたが、増大する傾向を認めた。また、DTを投与したノックアウトマウスでは体重減少を認め、体重減少は血管新生に影響を与えると考えられるため、DT投与回数、間隔、濃度について再度検討予定である。現段階では、各群ともn=3であるため、今後マウスをさらに繁殖し、再度実験予定である。また、新生血管の原因と考えられるマクロファージについて検討したところ、ノックアウトマウスのPBS投与群とDT投与群において、DT投与群でサイズの縮小を認めた。この2群で樹状細胞の浸入数は差を認めたが、マクロファージの浸入数に明らかな差を認めなかった。この結果は、脈絡膜新生血管には、マクロファージよりも樹状細胞が重要であることを示唆するものであるが、今後さらにnを増やして検討予定である。
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PLoS One.
巻: Vol.5 ページ: e12515
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巻: Vol.91 ページ: 162-70