今までに我々は、脈絡膜血管新生の病態における樹状細胞の重要性について報告し、今年度我々は下記の実験を施行した。 まず、樹状細胞ノックアウト遺伝子改変マウスを入手し、レーザー照射による脈絡膜新生血管のサイズを正常マウスと、遺伝子改変マウス数を7に増やし検討したところ、やはり今までの結果と同様、樹状細胞が除去されたDT投与群においては、有意に脈絡膜新生血管サイズの縮小を認めた。 前回DTを投与した際にみられた、体重減少についての問題であるが、体重減少は、血管新生に影響を与えると考えられるため、DT投与回数、間隔、濃度について再度検討したところ、DT濃度を以前の報告の半分に希釈投与したところ、樹状細胞が70%程度除去でき、かつ血管新生に影響を与えるような10%以上の体重減少を認めなかったので、この設定で再度検討したところ、やはり新生血管のサイズの縮小をみとめた。ただ、これについてはn=3であるため、今後マウスをさらに繁殖し、再度実験予定である。 我々の実験では、immature-DCが新生血管能が高いため、mature-DCとのサイトカイン分泌能について比較検討もしている。しかしながら、VEGF、TNFa、MCP-1などについて検討しており、現在のところMCP-1に差を認めており、今後さらに多くの炎症性サイトカインについて検討予定である。 今後の予定としては、immature-DCが眼内に入って、他の細胞と相互作用しその結果炎症性蛋白が上昇している可能性があるので、それについても検討予定である。前年度の結果で認めたように、マクロファージの浸入数には差を認めないが、眼球全体での炎症性サイトカインの発現は上昇しているため、再度検討予定である。
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