我々は、脈絡膜血管新生の病態における樹状細胞の重要性について報告し、今年度我々は下記の実験を施行した。樹状細胞ノックアウト遺伝子改変マウスを入手し、レーザー照射による脈絡膜新生血管のサイズを正常マウスと、遺伝子改変マウス数を30に増やし(当施設20匹、ハーバード大学にて10匹)検討したところ、樹状細胞が除去されたDT投与群においては、有意に脈絡膜新生血管サイズの縮小を認め、やはり同様の結果が確認された。また、体重減少については、DT濃度を以前の報告の半分に希釈投与にて、樹状細胞が70%程度除去でき、かつ血管新生に影響を与えるような10%以上の体重減少を認めなかったので、この設定を採用している。新生血管assay法である角膜ポケット法、また、マウスの背中fibronectinやコラーゲンとともに樹状細胞を埋植しての新生血管assay法にても、追加実験にて同様に、新生血管サイズのfibronectinゲルへの侵入の現象を認めた。immature-DCが新生血管能が高く、mature-DCとのサイトカイン分泌能について比較検討もし、VEGF、TNFa、MCP-1などについて検討、MCP-1に差を認めた。しかしマクロファージの眼内への流入数をフローサイトメトリーにて検討したところ、両者に差をみとめず、乖離については今年度も明らかにすることが出来なかった。予め染色したDCをマウスに注入した上で、角膜ポケット法にて新生血管を観察したところ、血管壁にそって染色されたDCが分布しているように観察されたことより、DCが血管内皮細胞へと分化したと考え、電子顕微鏡をもちいて画像解析を行ったが、うまく観察されなかった。ただ、DCが内皮細胞へと分化する同現象は既報があり、DCの内皮への分化を促すようなサイトカインについては、未同定であるが、現在あるデータをもちいて、論文を完成し投稿中である。
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