研究課題/領域番号 |
22791659
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高 静花 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00570590)
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キーワード | オキュラーサーフェス / 視覚の質 / 波面センサー |
研究概要 |
ドライアイ診断基準に基づき診断した涙液減少型ドライアイにおいて、短焦点高速型波面センサーを用いて確立した測定条件で眼球高次収差測定を行った。 主として、新たに登場したドライアイ治療薬、ジクアホソルナトリウム点眼のドライアイに対する涙液動態と視機能(高次収差)への効果について検討した。治療前、治療後1か月、3か月、6か月においてドライアイの評価とともに高次収差の測定を行ったところ、少なくとも点眼治療により角膜中央部の上皮障害が治療すると、高次収差も減少することがわかった。治療前に、点眼前と点眼15分後において高次収差の変化も調べたが、こちらのほうでは変化がみられなかった。 現在、涙液安定性、涙液量、角結膜上皮障害、自覚症状などのパラメーターとの関係を調べるなど詳細にデータ分析をすすめている。また、治療後12か月以降の長期投与における高次収差に対する影響についても、調べていく予定である。 オキュラーサーフェス疾患の光学的特性を考える上で重要である散乱についても、正常眼および角膜移植眼(全層角膜移植(PKP)、深層表層角膜移植(DALK)、角膜内皮移植(DSAEK))において角膜前面・後面の収差および散乱について調べたところ、PKP,DALK眼では角膜前面の収差が正常眼、DSAEK眼に比べて有意に高かったが、DSAEK眼では角膜後面収差の有意な増加はみられなかった。現在、涙液そのものによる散乱を区別するのは難しいが、今回見出された結果をもとに、角膜の各層および涙液の散乱についてそれぞれ評価できるように考えていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドライアイの点眼治療が視機能に及ぼす影響、また角膜収差と散乱についても、結果がでて、いずれも学会・論文などで成果を公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今のところおおむね順調であるので、初年度に掲げた目標を達成できるように精進したい。データの量が多く、その解析、分析にも時間を要するので、効率よく進められるように工夫を行いたい。
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