研究概要 |
平成20年度に我々は、生体内抗酸化物質の一つであるチオレドキシン(TRX-1)に脈絡膜新生血管抑制作用があることを報告した。(Inomata et al. Suppression of Choroidal Neovascularization by Thioredoxin-1 via interaction with complement factor H.Invest Ophthalmol Vis Sci. 49, 5118-5125, 2008.)。また酸化型LDL受容体の一つであるlectin-likc oxidized low density lipoprotein type-1 (LOX-1)が同病態の形成に重要な因子であることも解明した(Inomata et al. Suppression of choroidal neovascularization in lectin-like oxidized low density lipoprotein type-1-deficient mice.. Invest Ophthalmol Vis Sci. 3970-3976, 2009)。我々は酸化ストレスによる病態の解明を進めるためレーザー誘発脈絡膜新生血管モデルを作成し、還元剤の一種であるN-acetyl-cysteine (NAC)を投与し病態に関する検討を行った。NAC投与にて各炎症生サイトカインの上昇が抑制され、血管増殖因子の上昇も抑制されていた。以上のことより脈絡膜新生血管の形成過程において、酸化ストレスが関与することが証明された。以上の結果をふまえて、今後さらなる抗酸化物質や酸化型LDL受容体の脈絡膜新生血管形成抑制効果を検討すると共に、そのメカニズムの解明を行う予定である。
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