同意が得られた増殖糖尿病網膜症患者とコントロール(黄斑円孔、黄斑上膜患者など)の患者の硝子体手術施行時に採取した硝子体中のAngpt12のタンパク濃度をELISAにて測定した結果、増殖糖尿病網膜症患者における硝子体中のAngpt12の濃度が著名に上昇していることが明らかとなった。増殖糖尿病網膜症(2.89±0.46ng/ml)、コントロール(1.58±0.06ng/ml)(P<0.001)。これらの濃度は血清中の濃度よりかなり高濃度であり、眼内の網膜などの組織などから産生、分泌されていることが強く示唆された。また、手術中に採取した増殖糖尿病網膜症の患者の増殖膜におけるAngpt12の発現部位の検討を免疫染色で行ったが、主に浸潤してきたマクロファージや血管内皮細胞などに強い発現を認めた。また、増殖膜におけるAngpt12の発現をin situ hybridisationでも検討を行ったが、うまく染まっていなかったので、条件検討を行い再度行う予定にしている。 以上のことや、Angpt12はこれまでにも低酸素やマクロファージなどの炎症細胞より分泌されていることが報告されているおり、今回の結果とあわせて考えるとAngpt12は網膜症網膜症の病態に深く関与している可能性が高いことが示唆される。さらに今年度は、Angpt12ノックアウトマウスなどを用いて糖尿病のモデルを作成し、網膜における炎症性サイトカインの発現や白血球の接着などさらに解析を進めていきたいと考えている。
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