研究課題
今年度の研究成果に関しては、まずAngpt12ノックアウトマウスを用いて糖尿病のモデルマウスを作成し網膜における炎症性サイトカイン等の網膜における発現をELISAを用いて検討した。Angpt12ノックアウトマウスの網膜では糖尿病モデルマウスではIL-6やMCP-1などのサイトカインの発現が抑制されていた。また、そのモデルマウスを用いて炎症による網膜血管への白血球の接着をレクチン染色にて検討したが、Angpt12ノックアウトマウスにおいては白血球の接着は抑制されていた。次にHuman Retinal Endothelial Cell (HREC)を用いてAngpt12のシグナル伝達経路の解析を行ったがAngpt12の刺激によりNFκBがリン酸化されることが明らかとなった。以上の結果および前年までのヒトの硝子体サンプルや増殖糖尿病網膜症の増殖膜を用いて行った免疫染色などの実験結果などから、Angpt12が糖尿病網膜症の病態に深く関与していることが示唆された。これまで、炎症が関与している関節リウマチや腫瘍などの病態にもAngpt12の関与していることが報告されており、また糖尿病や肥満にもAngpt12が関与していることも報告されているため、今後はAngpt12の発現を制御することが糖尿病網膜症の制御につながるか検討を行うことにより、現在中途失明原因疾患の第2位である糖尿病網膜症の新たな治療ターゲットにつながる可能性を持っていると思われる。
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J Glaucoma
巻: (印刷中)
Blood
巻: 117 ページ: 1081-90