研究概要 |
H22年度は、ブタ網膜色素上皮細胞(RPE)の初代培養細胞を用いて、細胞極性をもつRPEの培養を試みた。ブタ眼球からRPEを単離して、12ウェル用transwell^<TM>上に細胞を播種(5×10^4個)し、1%ブタ血清含有特殊培地を用いて約1ヶ月間培養を行った。その結果、培養細胞はTight junction蛋白であるZO-1,oculudinやNa-K ATPaseの発現を認め、上皮細胞が持つバリア機能の指標である、transepithelial resistanceも150Ω・cm^2以上となった。電子顕微鏡検査でも微絨毛や基底陥入といったRPEの特徴的な構造を認めたことから、極性を持つブタRPEの培養を確立できたと考えた。これらの細胞を用いて、RPEで発現が高値であるVEGFやPEDFの分泌量をELISA法にて測定した。VEGFは、上皮側よりも基底膜側に約2.5倍高い発現を認め、一方PEDFは反対に上皮側に2倍強い発現を認めた。VEGF、PEDFの発現パターンは生体と同様で、サイトカイン産生の面でもより生体に類似していると考えられる。以上から、今回我々が確立してブタRPE極性細胞を利用することで、より正確な病態把握につながり、病因の解明につながると考えている。来年度は、代表的な眼疾患である糖尿病網膜症を念頭に置き、低酸素モデル、TNFa刺激を極性細胞に行って解析をする予定である。
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