研究概要 |
本研究は効果的な視機能訓練法・装置を開発し,視能訓練の問題点の解消及び小児の斜視,弱視患者の時間的・精神的負担を軽減することを目的に実施した。平成22年度は視機能訓練法・装置の開発とともに訓練効果を評価する視機能検査装置を開発し,既存の検査装置の検査結果と高い相関を認め,本検査装置の有効性が示された。平成23年度は平成22年度に開発した視機能訓練装置に実装している弱視訓練法,斜視訓練(抑制除去,融像訓練,立体視訓練)法の効果を小児の弱視患者・斜視患者を対象に検討した。本検討は北里大学医療衛生学部倫理委員会,北里大学病院倫理委員会の承認を得た後,十分なインフォームドコンセントを行い同意の得られた弱視患者及び間欠性外斜視患者に対して実施された。結果として,本訓練弱視患者の弱視眼視力向上,間欠性外斜視患者における抑制除去及び融像訓練効果が認められた。訓練効果の得られた代表例として弱視患者1例、間欠性外斜視患者1例を示す。症例1:4歳男児。健眼視力1.2,弱視眼視力0.1,両眼視機能も不良であった。本訓練施行後,視力は両眼1.2に改善し,良好な両眼視機能を獲得した。症例2:7歳女児。視力は両眼1.2,眼位は遠見18Δ,近見25Δ外斜位斜視。抑制があり,融像が不安定であった。本訓練施行後,完全に抑制が除去され融像が安定し融像幅も増加した。従来の視能訓練法は訓練法に対する集中力及び興味の欠如から期待される訓練効果が得られない例を度々経験する。本訓練装置は立体映像ディスプレイにキャラクターを用いた検査・訓練映像を提示する構成であり,患児の注意引きやすく,訓練に対する集中を持続できる。今後,臨床応用を継続して行うことで,新たな弱視及び斜視訓練法としての応用が期待される。
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