研究概要 |
我々はSOD1ノックアウトマウスと野生型のマウスの眼表面、涙液中、血液中の炎症性サイトカインの定量を行い,SOD1ノックアウトマウスでは野生マウスに比較して角膜上皮の高度な障害およびマイボーム腺の消失を認めた。SOD1ノックアウトマウスのマイボーム腺房周辺に炎症細胞の浸潤、涙液に炎症性サイトカイン濃度の上昇(特にIL-6およびTNF-alpha)を認め、これら変化と同時にマイボーム腺周辺に著しい療痕化が生じたことが明らかになった。23年度はこれらデータを画像解析にて定量化した。またマイボーム腺におけるDNAと晩期脂質酸化ストレスマーカー(80hDGと4HNE)の定量を行った結果ノックアウトマウスでは野生マウスに比べ脂質における酸化ストレスマーカーの増加を認めた。23年度はSOD1ノックアウトマウスのマイボーム腺分泌物(脂質)の変化を評価するためにOil Red-O染色を行い、SOD1ノックアウトマウスと野生マウスでも分泌パターンの違いも検討した。SOD1ノックアウトマウスのマイボーム腺房上皮細胞の電子顕微鏡における検討も本年度くわえた。本研究の現在の結果よりSOD1ノックアウトが腺組織での炎症の引き金となり、マイボーム腺房上皮細胞死および線組織の消失が招かれ、ドライアイアイに伴う角膜上皮障害が発症したことが示唆された。現在のデータを米国眼科学会(ARVO)で発表した。すでに英文論文にまとめており今年中にInvestigative Ophthalmology and Visual Scienceに投稿準備中である。
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