AGEsとは終末糖化産物(advanced glycation end products)のことであり、高血糖が持続することで産生され、糖尿病の様々な合併症の原因と考えられている。 糖尿病合併症としての足潰瘍にもAGEsの関与が予想される。特に、糖尿病患者の下腿に散見されるpunchout ulcerはAGEsによる細小血管障害が強く疑わせる。また治療段階で、潰瘍は不良肉芽であることが多いが、肉芽は未熟な血管のあつまりであり、AGEsにより良好な創傷治癒が阻害されている可能性が推測される。 我々は、2001年~2005年までの5年間で76症例、101のパラフィンブロックを保存している。その内訳は糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍とそれぞれの手術前後、またGVHDによる皮膚潰瘍から熱傷潰瘍に至るまで多岐にわたる。そのうち、約40例の標本に対して、CD34、αSMA、AGEs、RAGEの免疫染色を施行した。 健常なヒト創傷上の良性肉芽組織は表面のフィブリンマトリックスとその下層の線維性組織という二層性のシンプルな組織構築を持つ。とくにフィブリンマトリックス内はほぼ表面を先端とする未熟な新生血管のみが実質臓器として存在している。 肉芽組織や潰瘍部分にAGEs、RAGEの染色がみられたが、非特異的染色の可能性もあり、今後、糖尿病の重症度との関連や、創傷治癒の各段階での比較や検討を行う予定である。
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