研究概要 |
創部における陰圧吸引は組織血流の増加、組織新生の促進、組織浮腫の軽減など、多くの利点を有すると考えられている(Venturi et al.:Am J Clin dermatol2005 6:185-94, Morykwas et al.:Ann Plast Surg 1997 38: 553-62)。本研究は神経断端を陰圧で吸引することで断端を持続的もしくは断続的に牽引し、結果として神経の延長をもたらそうとするものである。 陰圧吸引を末梢神経延長に応用した報告は現在までには見あたらず、まずは安定した実験モデル並びにそれに必要なデバイスの確立が必須である。また、陰圧環境そのものによって末梢神経再生がどのように変化するのかに関する研究、報告も数少なく、これに関して新たな知見を得ることも本研究の目的である。平成23年度は平成22年度に引き続き陰圧発生のためのデバイスの計画、設計、試作、動物への装用を行った。現時点においても体内埋め込み型デバイスの動物への装用において改良、克服すべき問題点が多く、依然として学会にて発表を行う程度の進捗状況にはない。来年度も引き続きデバイスの試作、試行を行っていく予定である。進捗状況は当初の予定よりは遅れてはいるが、安定した陰圧を確保することは本研究において基礎をなす重要な点であり、さらに時間がかかることが予想される。 一方で本研究の基礎となる末梢神経再生に関する研究発表を国内外で複数行い、国内外の研究者と研究計画、成果についての意見交換を行った。
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