われわれはこれまでに高張塩溶液を用いた組織の脱細胞化法を確立させた。本手法を小口径の血管に応用した。ラットを実験動物として用い、腹部大動脈を採取し、これを脱細胞化した(口径約3mm)。これを別の個体に顕微鏡下に移植した。経時的に採取を行い、組織学的検討を行った結果、移植より1ヶ月の時点で血管内皮細胞が生着し、その下層には平滑筋細胞の定着も認めた。また14ヶ月に渡り100%の開存を認めた。更に口径1mmにおいてもその開存を認めた。加えてワイヤーミオグラフシステムを用いて血管の収縮・拡張機能を検討した結果、NOに反応して血管拡張機能を示した。
|