研究概要 |
今回の研究では、同種異系間複合組織移植において、体外フォトフェレーシスにて移植後拒絶反応が抑制されるかどうか観察した。同種からの複合組織移植の前に体外フォトフェレーシスを受けた群と、受けなかった群を比較した。In vitroでの観察においては、リンパ球混合刺激試験をおこなった。その結果移植前にフォトフェレーシスを行った群において抗原刺激に対するリンパ球増殖反応の抑制が確認された。しかし、肉眼的観察においては、移植組織の生存期間に有意差を確認することができなかった。次に体外フォトフェレーシスと免疫抑制剤(CsA 8mg/kg, 7days)の併用を行った群と、免疫抑制剤投与のみを行った群とで、移植後の拒絶反応に差が出るか検討した。その結果肉眼的観察において、移植後組織の生存期間が体外フォトフェレーシスと免疫抑制剤投与を併用した群では、有意差を持って生存期間が延長することが確認された。術後10日目に移植組織を採取し病理組織学検討を行ったところ、上記併用群では移植後拒絶反応の重傷度が低下していることが確認された。体外フォトフェレーシスが同種異系間複合組織移植において拒絶反応を抑制されるどうかはこれまで検討されておらず、今回の検討でその有効性が初めて確認された。今後はそのメカニズムの解明や、さらに有効性を高める方法を検討することによって、現在行われている臓器移植医療の成功率を高めたり、副作用の危険性の高い免疫抑制剤の投与量を最小限にしながら拒絶反応を抑制させることが可能になり、現在の移植医療に貢献できると可能性が高いと思われた。
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