研究課題/領域番号 |
22791726
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山下 建 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30312507)
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キーワード | klotho遺伝子 / klothoマウス / 創傷治癒 / 皮膚潰瘍 / 老化 / 褥創 / 外科 |
研究概要 |
昨年度に形成したklothoマウスコロニーにより、安定したホモマウスの供給を本年度も得る事が可能であった。 まず、実験の母集団を増やす目的で、老化皮膚潰瘍モデルを用いた創収縮能の追加調査を行った。生後6週目のklothoホモ、klothoヘテロ、野生型(C57BL/6)マウスを用い、イソフルレンでの吸入麻酔下に背部に径8mmの肉様膜に達する創を作成した。術後2日ごとにアクリル板を用いて直接トレースして計測し、スキャン、デジタル化し、画像処理ソフト(Adobe Photoshop CS5)にてピクセル数を計測した。klothoホモマウスは、他のマウスに比べて有意に治癒期間の遅延が認められた。潰瘍創面の病理学的検索では、HE染色の他にMasson-Goldner Trichrome染色を行い、線維芽細胞、コラーゲン量の有意な減少を確認した。さらに、コラーゲン生成量の減少を確認するため、創部よりコラーゲンmRNAを抽出し、RT-PCRにて解析した。これによりklothoマウス皮膚はヒト老化皮膚と類似し、I型およびIII型コラーゲン生成量が有意に減少していることが示された。 また、創傷治癒遅延が実際にklotho遺伝子によるものか、周囲環境からの因子によるものかの調査も行った。klothoホモマウスと野生型マウスの背部皮膚を交換移植し、さらに移植皮膚に潰瘍モデルと同様に創を作成し、治癒期間を調査した。いまだ母集団が少なく、結果は明らかではない。 次年度は創治癒遅延因子の解明を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを施設内で繁殖させ、安定したklothoマウスコロニーを形成し、創収縮力の比較、解析、免疫染色と順調に実験を遂行している。治癒遅延因子の解明にも着手し、実験を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
創傷治癒遅延因子の解明のために、移植皮膚での皮膚潰瘍治癒実験を続ける予定である。また、klothoマウスおよび野生型マウスより採取した線維芽細胞を用い、創収縮力の実験や、細胞の継代能力実験など、invitroでの実験を進める予定である。
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