平成22-24年度に「ヒト歯髄細胞クローンを用いた幹細胞の特性の解析、およびそのクローン間における特性の差異の明瞭化」と「幹細胞の特性を制御する機構における分子機能を反映した幹細胞マーカ候補分子の選定」を目的とし、ヒト歯髄初代培養細胞からコロニー形成能のある細胞を50クローン単離した。各クローンを長期間継続培養し、石灰化能と脂肪分化能、および一部のクローンでは遺伝子発現を解析した。 平成24年度は当初、「歯髄幹細胞マーカ候補分子の検証と歯髄切片上のマーカ局在の解明」を目的とする予定であったが、クローンの多分化能をより明確にする必要性を感じ、石灰化能、脂肪分化能に加え、軟骨分化能についても評価することにした。そのため、適切な軟骨分化能評価系の構築を行った。細胞を単層培養法とペレット法で培養し、軟骨分化能を検討したところ、どちらの培養法においても、細胞外基質のムコ多糖類がアルシアンブルーで強く染色されることが判明した。 以上から、比較的手技が平易で短期間で結果が得られる単層培養法を、歯髄細胞クローンの軟骨分化評価系として採用した。この評価系を用いて、石灰化能や脂肪分化能を長期間維持したクローンについて新たに軟骨分化能の評価も行い、その結果を米国シアトルで開催されたThe 91st General Session & Exhibition of the International Association for Dental Research(第91回IADR総会)でポスター発表した。
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