研究課題
申請者は、「ATP-binding cassette(ABC)トランスポーターが関与する生命現象及び疾患を同定する事」及び「ABCトランスポーターの生理機能を分子レベルで解明する事」をマイルストーンとして掲げている。そして、本申請課題では、破骨細胞の発生過程でmRNAの発現が誘導されるABCトランスポーターAbca5を研究対象として選定した。また、今年度は、「破骨細胞における生命現象」及び「代謝性骨疾患」に対するAbca5の関連性の評価に着手した。野生型マウスの脛骨及び大腿骨から骨髄細胞を採取し、M-CSF、RANKL、TGF-β1存在下で培養して破骨細胞を調製した。同時に、RANKL被存在下で骨髄細胞を培養することによって、マクロファージを調製した。これらの細胞から調製した細胞溶解液をSDS-PAGEに供し、続いて免疫ブロッティング解析を行った結果、破骨細胞から調製した細胞溶解液中に抗Abca5抗体によって認識されるタンパク質が存在することが見出された。抗Abca5抗体の抗原認識に対する特異性及び当該タンパク質の分子量、マクロファージにおける存在量から、当該タンパク質がAbca5であると断定した。6週齢になる雄および雌のAbca5欠損マウス及び野生型マウス(各10-12匹)から脛骨及び大腿骨を採取し、マイクロフォーカスX線CTシステムを用いて骨構造を解析した。解析は、遠位大腿骨側の成長板周辺を対象として実施した。解析の結果、同群の個体間において測定値のばらつきが認められた。このばらつきは、個体間の体長のばらつきに因る可能性が考えられた。この結果は、個体の成長に影響を及ぼす骨代謝にAbca5が関与している可能性を示唆している。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Methods Mol.Biol.
巻: 648 ページ: 139-159