CCN2/CTGFはCCNファミリーの一つであり、主に間葉系の細胞、組織において多機能を発揮するがその作用機構に関する詳細は明らかにされていない。一方CCN2/CTGFは様々な生理活性因子と結合し、その作用を制御することが報告されている。我々はこの点に注目し、CCN2/CTGFの結合因子をさらにスクリーニングした結果、CCN2/CTGFはTNFRファミリーの一員であるreceptor activator of NF-κB(RANK)と結合することを見いだし、その結合の物理化学的性質について解析した結果を昨年度の本学会にて発表した。具体的にはCCN2/CTGFはRANKのみならずOPGとも結合性を有すること、およびその結合定数はRANKのリガンドであるRANKLとの値に準じるものであることを示した。また、CCN2/CTGFはRANKとRANKLのin vitroでの結合には影響しなかった。今回我々は研究を生物学的効果の解析に進め、RAW264.7細胞を用いてCCN2/CTGFのRANKとの結合がRANKL刺激によって誘導される破骨細胞分化においてどのような影響を示すかの検討に行った。RAW264.7細胞ではRANKL刺激によってNF-κBの核移行やERK、p38、JNKなどのMAPKのリン酸化といったRANK signalingの活性化が引き起こされるが、CCN2/CTGFが共存することでこれらの活性化が増強された。CCK2/CTGF単独ではこれらのシグナル構成因子の活性化にほとんど変化は見られなかった。また、マウス胎仔肝細胞から誘導された破骨細胞の成熟をCCN2/CTGFが促進することが成熟破骨細胞マーカーであるTRAP染色法で示された。さらにOPGはRANKLによるTRAP染色陽性細胞の増加を抑制するが、CCN2/CTGFはOPGのRANKL抑制作用を阻害し、TRAP陽性細胞の増加を回復させた。これらのことからCCN2/CTGFは二種類の経路を介して成熟破骨細胞の細胞形成促進することが明らかになった。
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