研究概要 |
交付申請書に記載した「QOPマーカーの探索」、「QOP分化誘導因子の探索」は、現在進行中である。「QOP遊走因子の探索」について以下の所見が得られた。以前、石井らは、免疫抑制剤であるFYT720(SIPアゴニスト)の、マウスへの投与は破骨細胞前駆細胞を骨髄から末梢血中へ移行させ、骨髄中の破骨細胞前駆細胞を枯渇させることを明らかにした(Nature 458,524,2009)。さらに、それにより骨組織の破骨細胞数は減少し、骨量が増えることを示した。そこで我々は、QOPがFYT720の投与により、骨髄から末梢血へ移行するか否かを調べた。その結果、FYT720のマウスへの投与後5時間で、T細胞(CD3陽性細胞)とB細胞(B220陽性細胞)は末梢血から骨髄へ移行した。一方、QOP(RANK陽性細胞)は骨髄から末梢血に移行した。以上より、以前の報告と同様に、FYT720は、破骨細胞前駆細胞(QOP)を骨髄から末梢血に移行する能力を有することが明らかになった。「QOPの成熟B細胞への分化能の解析」について以下の所見を得た。以前我々は、FACS解析により、RANK陽性/c-Fms陰性の画分中にはB220陽性細胞が含まれることを明らかにした.そこで、RANK陽性/c-Fms陰性/B220陽性細胞をセルソーターにより分取し、M-CSFとRANKLによる破骨細胞分化能を調べた。その結果、RANK陽性/c-Fns陰性/B220陽性細胞は、破骨細胞分化能を有さなかった.さらに、この細胞画分は、IgMを産生することがFACS解析より明らかになった。以上より、当初の予想とは異なり、RANK陽性/c-Fms陰性/B220腸性細胞は、B細胞画分であり、QOPはRANK陽性/c-Fms陰性/B220陰性の画分に存在することが明らかになった。
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